スーパーどうでもいい系の感想なのですが、久しぶりにワンピースのウォーターセブン編でウソップと大喧嘩する話を読んで、やっぱこの話、めちゃめちゃ味わい深くて好きですわ、となったので、だらだら思ってるところ書いておきます。
ウソップ離脱イベントの流れ
以下、ウソップ離脱イベントの流れです。
- 空島で手に入れた黄金を3億ベリーに換金
- 修理査定してもらっている途中でフランキー一家に2億ベリーとウソップが誘拐される。
- ウソップボコボコにされて2億ベリー取られる
- ルフィが修理査定結果をきいて激高する。
- アイスバーグさんがルフィに船長としての責任を諭す
- ルフィ、ハッとする
- ウソップ誘拐に気づく
- とりあえずフランキー一家をボコボコにする
- 目覚めたウソップにルフィが爽やかに「メリー号から乗り換えることにした」船長決定を伝える
- ウソップブチ切れ
- ルフィ、断腸の思いで決断した乗換をウソップになじられてキレる
- ルフィ、売り言葉に買い言葉で「船から降りろ」と言ってしまいそうになるがサンジに止められる
- 即座に謝罪するが、ウソップから決闘の申し込みを受ける
- ルフィ、ウソップと決闘してウソップに勝つ
- 「お前が俺に勝てるわけねェだろうが!!!」⇒「重い!!!」
4-6を覚えてないと読者からもルフィが結構なサイコパスに見えるので注意が必要です。
結構長丁場なので、読んでしばらく経過すると8から先ぐらいしか覚えておらず、サイコパスに見えるのもやむなしなのですが…。
そういう意味では、4,5の認識がないウソップが初っ端キレるのは当然とも言えます。ウソップ視点ではルフィは人の心を持っているようには見えないもの。
売り言葉に買い言葉しちゃうルフィの描写がいいよね…
ルフィの少年ではなく、青年って感じの振る舞いが良すぎる
それはそれとして、ウソップ離脱イベント、喧嘩のシーンがルフィが絶妙に大人になろうとしてなり切れていない感じで、大好きなんすよね。
もう少し大人だったら、冷静に会話できたし、ウォーターセブン編以外の天真爛漫ルフィなら喧嘩にすらならないはず。
なのに、ウォーターセブン編ルフィは喧嘩に発展しちゃうんですよ。
人間味あふれすぎてていいんですよね…。
冷静に読んでると、そらルフィキレるわ、という納得感がすごい
船長として本心では自分でも咀嚼しきれていないけど、断腸の思いで決断して伝えた話に対して、クッソなじられるという状況なんですよね、これ。
そら中々人間が出来てないとキレちゃうし、売り言葉に買い言葉で心にもない強い言葉を使っちゃうのもわかるんですよ。誰だってキレちゃう。
勢いで火に油を注いでしまうウソップと、燃え上がってしまうルフィの会話の解像度が高すぎるのよ…
以下、サンジに「滅多なこと口にするもんじゃねぇぞ!!!」と怒られる例のシーンですが、ルフィの話の持って行き方が悪かったとはいえ、そりゃルフィも怒っちゃうよ…という感じなんですよね。
「いい加減にしろお前ェ!!!お前だけが辛いなんて思うなよ!!!全員気持ちは同じなんだ!!!」
「だったら乗り換えるなんて答えが出るはずがねェ!!!」
「………!!!じゃあいいさ!!!そんなに俺のやり方が気に入らねェんなら!!!今すぐこの船から…」
「本心は違うんだ」とまで伝えられているのにルフィをなじるウソップ…。そりゃルフィもキレる。誰だってキレる。
こんなに説得力がある喧嘩のシーンも中々書けないです。仲間内のいざこざの解像度が高すぎる。一コマに詰め込むのも喧嘩の勢いが伝わってきて、改めてすごいすわ。
「お前船降りろ」は本心だったのか、本心じゃなかったのか
ルフィが本心でない「お前船降りろ」を言っちゃいそうになるのわかりみ深い
言っちゃいそうになった言葉、これまでや前後の描写も含めると、まあ本心ではないんですよね、明らかに。
ウソップとはこの先も一緒に旅をしたいし、別に弱いから迷惑だとは思っていないんすよ。
(弱いとは思っているけど、まあ客観的に見て、明らかにウソップとナミの戦闘力はメイン3人対比やチョッパー対比でも低いので…)。
なのに、ウソップになじられて激高しちゃって、船長という立場を傘に、勢いで「船降りろ」と言っちゃいそうになるこの描写、大人になればなるほど「わかるわ…」という感じです。
リアル生活でも時々やっちゃいそうになるやつ
責任があるから割り切れないながらも意思決定したのに、なんでその気持ちを理解してくれない?じゃあお前がなじるその立場からモノを言ってやろうか!!!という奴ですね。
下に見ているからそういう発言が出るんじゃないの、と言われると、まあその側面は否めないですが、実際、形式的には序列があるわけで、やっぱり「麦わらの一味」という組織のトップは主観的にも客観的にもルフィなんですよね。
なので、それ自体はやむを得ないんじゃないかとは思いますねー。
この後のシーンも無駄に解像度が高くて逆に怖い
このあとの「本心ではそう思ってるんだろ」と言葉尻を捉えてなじっちゃうウソップとか、何故か逆に割と冷静になってるルフィとか、この辺も妙に解像度が高いんですよね。
特に言っちゃいけない言葉を発しそうになっちゃったので、ヤベッとなって冷静になってるルフィがなー。そういうときあるある。
ウソップとルフィどっちが悪い問題
ウソップとルフィどっちが悪いかと言わればウソップが悪い
歳を取るとルフィの肩を持ちたくなるよ
昔読んだときはルフィがもっと大人の対応をするべき派だったのですが、年を取ってから読むと、この話、どっちかっつーとウソップが悪いですね。
ルフィの話の持っていき方がヘタクソなのはあるのですが、途中でルフィも断腸の思いである旨は伝えているわけなんですよ。
そこでトーンを一段戻して会話すればいいものを、人格否定する勢いでなじってしまうのはまあ、良くないというか、ウソップに非があるところです。
色々と燻っていたところで2億ベリー取られた最中なので、ああいう反応になった、というのはそうなのでしょうが、ルフィ側が安直な断絶は回避する中で安直に断絶を告げたのはなぁ…って感じですね。
まあ、意中の人からのプレゼントでもあるメリー号の処遇を巡っては簡単に折れることはできないのでしょうが、それでも先に対話を放棄した方が問題ですよね。
余談
ゾロとサンジの立ち位置の差の一貫性もいいよね
黙っているゾロと場を収めようとするサンジの対比よ
あと、ここの場面で黙って事態を見守っているゾロと、行き過ぎたときにはちゃんと場を収めようとするサンジの立ち位置の差もすごくいいですよね。
ゾロは筋が通ってるのかを客観的に見つめる役目なので、物事を収めるアクションは取りません。
対して、サンジはそれより少し踏み込んで、ウソップのことを気にかけてアクションを起こすんですよね。
「誰にでもできる事とできねェ事がある。お前にできねェ事はおれがやる。おれにできねェ事をお前がやれ!!!」
これ、メイン戦闘員であるルフィかゾロかサンジの誰かが言わないといけなかった、ウソップに足りない承認の言葉で、この言葉を機に、ウソップが自信を取り戻して活躍し始めます。
ゾロではなくてサンジがウソップにこの言葉を言う、というのがウォーターセブン編~エニエスロビー編の間での一味の中の立ち位置として自然で良いですね。
飛影ゾロはそんなこと言わないし。
現実の組織でも、黙っているだけじゃなくて、ちゃんと活躍してる場面をほめる役割の人がいないと、縁の下の力持ちみたいな人が弱っていくタイミングありますからね…。そして、それはゾロじゃなくてサンジの役割、というのは解釈一致です。